令和元年度の名古屋市依存症支援者研修(薬物依存症)が令和2年2月9日、23日の両日、愛知県精神医療センターで開催しました。約70名の方の参加がありました。ありがとうございました。薬物依存症の研修は初めてになります。アルコール依存症の研修と同様に、医療関係者、本人、支援者からの講義とともに、今回は薬物依存症に関わる司法の方にもご参加いただき、シンポジウムを開催しました。また薬物依存症や自殺対策への支援でご高名な松本俊彦先生の講義を2日間にわたって行いました。
【研修プログラム】
☆1日目(2月9日)
松本 俊彦氏
薬物依存症総論Ⅰ 薬物依存症について
薬物依存症に関する法律(守秘義務・通報義務など)、薬物依存症の治療、実際の対応
患者に対する見立て
(国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部部長)
谷口 伊佐美氏
当事者や家族への支援・地域支援~生活保護行政・大坂ダルクでの関わりを通して~
(元大阪市東淀川区生活保護ケースワーカー、大阪ダルク理事、リカバリハウスいちご)
松浦 良昭氏
薬物依存症~本人の体験談~
(三河ダルク)
西山 仁氏
薬物依存症の治療~西山クリニックの取り組み~
(西山クリニック院長)
☆2日目(2月23日)
松本 俊彦氏
薬物依存症総論Ⅰ 薬物依存症と重複障害、自殺と自傷
(国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部部長)
東海北陸厚生局麻薬取締部
浅井法律事務所
名古屋刑務所「薬物依存症支援~関係機関の取り組みについて~」
名古屋保護観察所:各シンポジストより紹介
岡崎自啓会
名古屋市保健福祉センター
シンポジウム「切れ目のない支援に向けて、私たちに何が出来るか?」
西山クリニック
司会:山口 みほ氏(日本福祉大学准教授)
岸上 真大氏:依存症対策と施策
(名古屋市健康福祉局障害福祉部障害企画課精神保健福祉係)
研修を受けて、薬物依存症の知識だけでなく、依存症に対して内なる偏見が援助者側にも存在すること、薬物使用を止めさせるといった表面的な問題のみに着目するのではなく、そうならざる得ない背景をしっかりと把握すること、一見自暴自棄に見える態度が助けを求める本人なりの方法であると支援者が気付くことの重要性を実感しました。普段は滅多に話を聴くことのできない司法関係者の方が、刑罰と各々の職責の間で悩みながら、個々に支援をされていることが印象的でした。今回も自助グループの方に登壇頂き、ご自分の体験と自助グループでどのような支援を行っているかを語っていただきました。薬物の使用に対して最近はさらに世間の批判が強いと感じます。薬物の使用のみに着目するのではなく、本人をいかに孤独に陥らせずに薬物の使用をやめていくように支援できるか考えていきたいと思います。今後も薬物依存症の研修開催を検討していますので、ご興味のある方はHPでご確認下さい。